第20章 君を甘やかしすぎたかな

そのよそよそしく冷たい呼び方には、はっきりとした距離と溝があった。

だが、南雲玲奈は彼の反応に、さほど動揺しない。

電話をかける時点で、こうなる覚悟はできていたのだ。

藤井一輝とは、長い付き合いになる。

関係が良かった頃は二人で手を組み、医薬会社『ミラクル』を立ち上げた。

玲奈は研究開発を担い、藤井は経営を担う。

若さゆえの勢いもあった。玲奈は誓っていた――いつか自分が『ミラクル』を率い、医薬の頂点に立つのだと。

けれど、その誓いは途中で折れた。

横尾孝人のために、玲奈は別の道を選んでしまったのだ。

あのとき藤井は、初めて本気で怒った。

男ひとりのために信念を捨てるなんて...

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